Se connecter双鹿はこういうときふざける人種ではない。それは分かっている。故に、双鹿の様子の変化にヴィクトは息を呑んで目の前のドラゴンと対峙する。
「どう、不味いんだ?」
まだ、ドラゴンにアタックをしていないからヘイトは引いていない。知っていることを聞くなら今しかない。
「アレは———ボスレアモンスター・デッドレウス。さっき話したでしょ、レアモンスターは強い、って。この部屋にいる本来のボスの10倍は強いのよ。アレ」
「初陣でヤバいのに当たったってコトだな……」
「しかも、死ぬか倒すまでこの部屋からの脱出は不可能よ。……ごめんなさい、普段あんなもの出てこなかったから……油断したわ」
双鹿の心からの謝罪。
「いや、レアモンスターが出るかは分からねーし、普段は出ないんだろ?なら仕方ない」
「でも……」
双鹿を背に剣を握る。
愛鹿の元でのアルバイト後、皇は夕食をかきこみ、薊に「すまん!」と一言だけ言って爆速でAWMにログインをした。--------------------------------------------------------------- ———武装学園・デストロイア。 デストロイアの地に足がつく。慣例が襲わないことを自覚すれば、銃姫にログインしたことを伝える旨のメッセージを送信しようとして、一歩先んじてメッセージが届いた。 それは今、銃姫がいる場所を教える画像だった。地図の中、赤く光っているポイントに銃姫の文字が浮かぶ。そのポイントをタップすれば、「ワープしますか?」の文字。「……此処で逃げるのはカッコ悪いよな」 そんな自嘲的な笑み。ヴィクトはYESのボタンをタップした。--------------------------------------------------------------- ヴィクトが転送される。その場所は武装学園を囲う外壁の上だった。風が気持ちよく吹き抜ける、が———、立ち並ぶビルよりも高い高い壁、落ちたらきっと受け身をとっても死亡判定になるであろうと言えるぐらい高い壁の上に転送された。「うぉ、おお、こわ……」 一歩、壁の内側に近づいてその高さに身を竦ませる。そんなことをしていると———。「本当にあたしを見つけたんだね」 そんな音共に風が吹く。風に引っ張られるようにそっちを向けば、そこには銃姫が居た。 銃姫はなんてことのないように壁の上に腰かけ、足をぷらぷらとさせている。(俺にはできない芸当だ……) そんなことを思いながら、銃姫の隣に立つ。「偶然だけどな」 カッコつけてはいるが、なかなかにこの高さは怖かった。足が震えそうになる。「ねえ、ヴィクト」「う
翌日。その日はいつも通りの時間ではなく、ランチ営業時間の始まる前、9時半過ぎぐらいに皇は嬉嬉軒に来ていた。 多分、今の時間は仕込みの時間だろう。邪魔になるかもしれない。だけれど、2人にとってとても大切なことだろうから皇はこの時間を選んだ。 ———ピンポーン。 嬉嬉軒の裏手、藤桜家と書かれた標識が貼ってある下、インターホンを押す。すると、すぐにおばちゃんは出てきて。「はーいって、あれ、にーちゃんじゃないかい!」 そうおばさんは表情を明るくした。皇は意を決して、声の音量を下げておばちゃんに伝える。「姫沙羅さんに会いました」 おばさんが口を押えた。信じられないものを見る目で皇を見る。信じられないかもしれない、でも、これだけは本当だった。「でも、逃げられちゃって……なので、現実で昨日伝えられなかったことを伝えようと思って」 皇はログアウトしてからもデメテールと連携させたリムレットで最近遊んだメンバーのログイン状況は把握していた。だけど、あのあと姫沙羅がログインした形跡は0だった。つまり、姫沙羅は今現実に居る。「ドア越しで大丈夫です。娘さんと会話をさせて貰えませんか?」 それは切実な願い。もう少しで姫沙羅の核心に迫れそうだった。あともう少し、手を伸ばせば。でも、それにはおばちゃんの助けが必須だった。だから、皇は願う。 すると、おばちゃんは玄関の中を、いや、家を見上げて不安そうな顔をする。そして、おばさんが一瞬俯いて顔をあげた。「後ろで、聞いていてもいいかしら?」「問題ないです。いくら常連と言えど2人にするのは不安ですよね」 そうおばちゃんに寄り添いの姿勢を見せれば、おばちゃんも柔らかな笑みを浮かべてくれた。「上がって頂戴」 おばちゃんに案内される。1階が嬉嬉軒なせいか、玄関に入ってすぐは階段で。階段を上がって、もう1回階段を上がる。3階の部屋の突き当り、「姫の部屋」と書かれたプレートがその部屋にはかかっていた。「此処が&h
———翌日。 その日も皇は自転車を走らせていた。太陽が燦々と輝くけど、まだ酷く暑い訳ではない。そんな塩梅の気温。 皇は半袖チノパンというラフなスタイルで自転車を漕ぐ、向かう先はもちろん———嬉嬉軒であった。---------------------------------------------------------------「こんちわー」「お、らっしゃい!」「今日も来てくれたのねぇ」 嬉嬉軒にいつものように入店すれば、すっかり皇の固定位置となったカウンター席に腰かける。 おばさんがいつも通りメニューを渡してくれる、が、今日の皇は一味違う。今日は銃姫がおすすめしてくれたメニューを頼む気満々だった。 皇は片手をあげる。もう頼むメニューは決まっている、と。「お、今日は迷いがないねえ」「此処の常連さんらしき人におすすめメニューを聞いたんですよ」「おや、誰だろう。それもゲームの中で?それともえすえぬえす?」「ゲームの中で、ですね。めっちゃいい人からのおすすめだったんで、是非食べたくて」 そう言うとおばちゃんも「誰だろうねえ」と楽し気に笑ってくれた。 そして、おばちゃんが注文用のメモを取り出したのを確認して言うのだ。「天津飯1つ!」 だが。その言葉を言った瞬間、空気が凍る。皇の注文のメモを取ろうとしていたおばちゃんも鍋を振っていたおっちゃんも動きを止めた。(あれ……?) なんか不味いこと言ったか?そんなことを思いながら、この気まずい空気を払う方法を探す。だが、最初に声をあげたのは皇よりも先におばちゃんだった。「どうして……どうして、天津飯を頼もうと思ったんだい?」「え……」 そこで昨日の夜のAWM内での出来事を話す。銃に姫と書いて、ジュウキと読む少女に此処の天津飯を
「男性の精液って思ってるよりでないわね」「ぶっ」 ヴィクトは飲んでいた水を吹いた。ベッドの上で散々ヤったあとのピロートーク。それはド下ネタに塗れていて。「……まあ、異性の体のことだしな」「ええ、てっきり子宮までパンパンになっちゃうぅぅう、みたいなのを想像していたのだけれど」 真顔でそう言うこと言うの本当に双鹿だな、という感じがした。感慨がない、半端ない棒読みだった。「そんな量が人間の体の中に内蔵されてると思うか?」 そんなヴィクトの問いかけに、双鹿の視線がヴィクトの顔から下がる。そして、ちんぽ……と言うか多分、金玉を見て言うのだ。「フッ……そうね」 今鼻で笑ったな?(俺のはちんぽも金玉も小さい方ではないんだぞ????) なんだか無性に腹が立って。ヴィクトはペットボトルをサイドテーブルに置いた。「あら、どうしたの?」「いや、分からせる必要があるな、と」 そうヴィクトはもう一回、双鹿の上に覆いかぶさるのだった。 そう、ヴィクトが双鹿の顎を掴み上を向かせる。双鹿の視線は処女を奪われたというのに、その快楽への期待で満ちていて。 これを満足させるのは相当骨が折れるぞ、そんなことをぼんやりと思いながら、ヴィクトは精液と愛液でぬるぬるとしてる双鹿のまんこにちんぽを宛がうのだった。
銃姫から齎されるクロムの情報に震えていれば、銃姫の底抜けに明るい声が響いた。『まあ、クロムってそんなに現れるプレイヤーじゃないし、今は置いておいてぇ……ヴィクト、暇?なんかこの後約束あったりする?』 そんな問いかけ。ヴィクトは「んー」と少し考えて言うのだ。本日の予定、0。「ないな。今日はアザカもいねーし、デストロイアを見て回ろうと思ってたんだ」『あ、じゃああたしが案内してあげようか?クロムを退けたプレイヤーとは是非仲良くなりたいんだよね~』 下心はありますよ、そう公言する銃姫。そんな銃姫のさっぱりとした態度には好感が持てた。「じゃ、頼むわ。俺も統治者様とは仲良くなりたいんでゲスよ~へっへっへっへっ」 そう態とふざければ銃姫は更に笑って。『別にイベント有利になったりしないからねー。じゃあ、そっちに行くから待っててー』 そんな会話を最後に通話が切れる。そうして、ヴィクトがその場で待つこと数十秒。目の前に、光の粒子が舞い足元から銃姫が構成される。「お待たせ、ヴィクト」「いや、全然」--------------------------------------------------------------- ———武装学園・デストロイア。メインビル。 まず連れていかれたのはメインビルと呼ばれている建物だった。「基本的にオーダーメイドじゃない武器とかは此処が一番品揃えがいいかな。銃弾とかも売ってるよ」「ほうほう……デストロイアでは銃で戦うのが推奨されてるのか?」「んー推奨って程じゃないけどぉー……あ、試しにその剣抜いてみなよ」 そんな銃姫の言葉に首を傾げながら剣を握る。そして、引き抜こうとすると。「うわっ、な、……え、エラー?」 目の前に現れるシステムウィンドウ。システムウィンドウには「このワールドではこの武
イベントまで1週間。AWM内での生活も大事だが、同じぐらい現実での生活も大事だった。 最近はすっかり嬉嬉軒の常連となり、出勤前の昼飯は嬉嬉軒のラーメンや炒飯になっていた。 そんな、出勤日———。---------------------------------------------------------------「くさい」「え」「油の臭いが凄いのよ、最近」 いつも通りのおかえり、ではなく、ドアを開けたそこには消臭スプレーを持った愛鹿が居た。愛鹿は鼻を摘まんで、眉を寄せて、皇に消臭スプレーを向ける。 皇が荷物を下ろして両手を開けば、シュッシュッと消臭スプレーを吹きかけられる皇。 最近こんなことがあったような、という既視感を覚えていれば愛鹿が言う。「今度からは自分でやって頂戴。玄関にスプレー置いておくから」「了解しました……」「全く、私までお腹すいちゃうじゃない」 分かる。嬉嬉軒の匂いはとてつもない飯テロだ。それを言われて、愛鹿に悪いことをしたなあ、なんて思いながら部屋に入っていく。 そうして振られる今日の業務。「今日はあっちの部屋に作品を移動させてあるから、リストを見ながら梱包して頂戴。私はちょっと休憩してから作業に戻るわ」「じゃあ、俺もそのタイミングで作業に行こうかな」「じゃあ、お茶。お茶請けは今日はシベリアがいいわ」「あいよ」 荷物を部屋の端に置いて、キッチンに抜けていく。いつもの要領で電気ケトルでお湯を沸かしながら、シベリアを切り分けていく。そうして、できたものからカウンター越しに愛鹿に渡して行き———。 愛鹿と皇の前にシベリアの乗った皿と緑茶の入ったマグカップが置かれる。「「いただきます」」 そんな言葉を皮切りに皇は美味しいシベリアを口に入れて気づいた。「そういえば、愛鹿」